【短編小説】便利屋くノ一・餡音 by 志稲 祐 >まとめて読む 千葉市中央区某所に、その便利屋の事務所はある。 【便利屋】。日本で仮想通貨が法定通貨として認められ、ラグの少ない送金が可能になったことで、NFTを始め様々なジャンルの個人事業が盛んになった折、徐々にその規模を膨らませつつある業種だ。 五階建ての雑居ビルの一階に、およそ五坪という、ごく一般的な家庭のリビングと相違ない広さの事務所は、できたてのみたらし団子の香りで満ち満ちていた。 事務